【PARTHENON解説書の目次に戻る】
2. PARTHENON による設計入門
(クロック・タイマの設計を例として)
2.1 SFLによる記述
2.2 SECONDSによるシミュレーション
2.3 SFL記述の論理合成
2.4 auto.batの働き
PARTHENONシステムを使っての設計方法の概略をつかむために,具体的な例を
使って,設計記述言語(SFL)のコンセプトやPARTHENONシステムが提供している
ツール群の使い方をみていくことにします.
<図2.1> クロック・タイマの外観
ここでは,クロック・タイマの設計を例にとります.ここでのクロック・タイ
マは,「指定された数だけクロックをカウントし,その数になったら,なんら
かの信号を出力する」というものとします.より具体的には,図2.1の仕様が
与えられているものとします.
- (1) 入力信号STARTがアサート(制御信号を"1"にすることを以
降アサートと呼ぶ)されたら(有効になったら),INIT端子に与えられているデー
タ(8ビット)を初期値として取り込み,以後,クロックが入るたびにこの値を
カウント・ダウンしていく.
- (2) カウント・アウトしたら(値が0になったら),STARTまたはRESET信号が
アサートされるまで,出力信号EXPIREをアサートし続ける.STARTやRESETは,
(いつアサートされるかわからないという意味で)非同期にアサートされるもの
とする.
- (3) 入力信号RESETがアサートされたら,すべての動作をやめて次にSTARTが
アサートされるのを待つ.
本来,この程度の仕様のクロック・タイマは,PARTHENONシステムを使うほど
の設計ではありませんが,PARTHENONの入門的説明のために簡単な例題を選び
ました.もちろん,大規模な設計に通じるような考え方で設計していきます
(JKフリップフロップを並べるような回路は作らない).